事例紹介

※クライアントの守秘義務を考慮し、一部の内容を変更・簡略化しています。


事例1 調味料メーカーA社 【手軽→本格】

【商品】

和食用だしパック

 

【企業の想定】

・簡単かつ手軽にダシを取りたい人向け。

・和食を作るのがあまり得意ではない若い主婦が利用する。

 

【5人聞き取りでわかったこと】

・むしろ料理経験が豊富なベテラン主婦が使用。

・「簡単、手軽」という意識はない。むしろインスタントだしでは出せない本格的な味を期待している。

 

【実際のお客様】

・ベテラン主婦が、ゆっくり時間をかけて旬の素材で煮物などを作るときに使用。

 

【変更点】

・パッケージをカジュアルなものから素材の良さや本格的な味をアピールするものに変更。

(簡単、手軽という表現をなくす)

・だし素材以外の塩、砂糖などの量を減らす。

(当初は「これ一つで他に味付けはいらない」が売りだった)

 

【結果】

年間出荷量(売上)45%アップ

 


事例2 英会話スクールB社 【教育→満足感】

【商品】

幼児・小学生向け英会話スクール

 

【企業の想定】

・ネイティブ講師が多くいることや、資格試験の合格実績を向上させることで、他の大手スクールと差別化する。

 

【5人聞き取りでわかったこと】

・共働きで忙しく、子供の教育にしっかり時間を取れないので「英会話スクールに通わせることで、きちんと教育している」という納得感を得ている、という人が多かった。

・そのため、通わせやすい制度の方がカリキュラムより重要だった。

・英語能力の上達はそれほど気にしていなかった。

 

【実際のお客様】

・共働きで忙しい夫婦(の子)

・子供は知能や成績の向上よりも、英語を通じて楽しくのびのびと過ごして欲しいと願う親

 

【変更点】

・資格合格を意識したカリキュラムから、歌や遊び、国際交流を重視したものに変更。

・忙しい共働き家庭に配慮し、無料振り替えやお迎え延長サービスを導入。

 

【結果】

既存教室の生徒16%アップ

 


事例3 住宅メーカー C社 【健康→デザイン】

【商品】

住宅の販売

 

【企業の想定】

・木など天然の素材を多用。そのため健康に良い。

・シックハウスが気になる人、子供の健康が気になる人向け。

 

【5人聞き取りでわかったこと】

・購入した一番の決め手は機能や健康よりも「木の質感」。

・木目などが不揃いな方がむしろ「自然」感があって気に入っていた。

(企業側は揃っている方がいいと思っていた)

 

【お客決め】

・デザイン性・ファッション性としての「木の質感」が好きな人。

(特に自然志向や健康志向というわけではない)

 

【変更点】

・広告やWEBを「上質の木を用いたデザイン性の高い家」に変更。健康への影響は補足程度に留める。

・木へのこだわり ~ どのような木をどのように加工しているか、あえて不揃いの木目を使っていることなども紹介

 

【結果】

前年比で着工数9%アップ

 


化粧品メーカーD社

D社は比較的高価格帯の化粧品を製造・販売していました。

 

売上が大きく落ち込んでいるわけではないものの、行き詰まり感を感じ、打開策を探るべく依頼されました。

 

「5人聞き取り」を説明し、実際にD社のお客様5名にお話を聞きました。

 

そこでの一番の収穫は、「D社社員が考えているD社ブランドのイメージと、お客様が抱いているイメージが、大きく異なっていた」ということです。

 

D社の社員は、当初は競合ブランドを「D社と価格や流通経路が似ているブランド」と設定していました。そのような競合から埋没せず、どうやって特色を打ち出していくべきか、と商品開発などを行っていました。

 

ところが、実際にお客さんに聞いてみると、D社ブランドは、価格や流通経路などに関係なく、すでに「とんがった、個性の強いブランド」の一つとして認識されていたことがわかりました。実際、D社は有名メイクアップアーティストを起用し、独自の美容法を提唱するなどしていたのです。しかしそれはD社社員にとっては「どのブランドにもよくある、特徴のひとつ」としか認識しておらず、自分たちが「とんがった、個性が強い」ブランドだとはまったく思っていなかったのです。自分たちは、この業界としてはごく普通のことをしている、というのがD社社員の認識でした。

 

そのため、お客さんが考える競合も、価格や流通経路に関係なく、他の「とんがったブランド」でした。それを知ったD社社員は「ウチの競合が○○だなんて!全然想定していたのと違った!」ととても驚いていました。

 

そこで、マーケティング戦略を大きく変更することにしました。これまでは「化粧品の市場はこれ以上は拡大しない。だから、同価格帯の競合から、いかにお客様を奪ってくるか」を戦略の中心にしていました。ところが、お客様はそのような「想定していた」競合とそもそも比較などしていないのです。だから、競合でないブランドと比較したり、「ウチの方がいいですよ」と宣伝したりすることは、そもそもピントがずれていたのです。

 

D社はDブランドの「とんがった、個性の強いブランド」であることをより強調することにしました。社内からは「高価格帯のブランドらしくないのでは」「より安い価格帯のブランドと比較されてしまうのでは」という懸念もありました。しかし、「お客決め」のデータを見せることで、「Dブランドの比較相手は同価格帯ではない」「お客様は値段でブランドの『格』を決めているわけではない、それは業界の中の人間の見方にすぎない」ことを理解してもらいました。

 

そして「とんがった個性」をより押し出すことで、売上は増加。特に既存のお客様のリピート購入が伸びました。結果、1年後の売上は前年比+21%となりました。

 

余談ではありますが、「5人聞き取り」で5人に聞き取りを行ったところ、とても面白い発見がありました。それはその5人のお客様の属性やライフスタイル、好みや考え方などが、非常に似通っていたのです。5人の選定はランダムに行ったにも関わらず、非常に似たタイプの人が集まったのでした。D社社員からは、「私たちのブランドをどんな人が買っているのか、とてもよくわかった。あの方たちをお客様と想定して商品開発や広告などの業務を行うようになり、社内での意思統一がしやすくなった」と声をいただきました。

 


電機メーカーE社

電機メーカーE社は、それまでは主に電機機械部品などを製造するメーカーでした。ところが価格の下落や安い中国産製品などに押され、苦境に立たされました。そこで現状を打破すべく、新たに消費者向けの高級家電製品を製造・販売することにしました。

 

有能な技術者をスカウトするなどして、素晴らしい製品を製造し、販売に至ることができました。ところが同社は元々BtoB(事業間取引)の企業なので、消費者向けの流通や小売に関するノウハウがありません。有名な家電メーカーから営業OBを採用するなどもしたものの、家電メーカーとしては無名の同社の商品は、なかなか売場に並ぶことができませんでした。

 

当初、同社が想定したお客さんは、漠然と「いいものなら高い値段を払っても良いと考えるマニア層」でした。とはいえ、「高くても良い」ことを実感してもらうのは難しいため、お客様向けのテストルームを開放するなどして、「なんとかマニアにこの商品の性能の高さを実感してもらおう」と努力や工夫を行っていました。

 

実際に「5人聞き取り」で5人のお客様の自宅を訪問し、使用シーンなども含めて質問をすると、驚くべきことがわかりました。同社が元々想定していたようなマニアの方はわずか1人だったのです。しかもその方も「地元の企業だから買った」「試してみた、でもこれとあれが物足りない」といった評価で、必ずしも性能に惚れ込んで買ったわけではありませんでした。他の方も、マニアまではいかない「人より興味はある」レベルの方から、むしろ初心者レベルの方まで、様々でした。

 

詳しくお話をうかがうと、なぜ「マニアが買わないか」がわかりました。それはマニアはこの分野では「自分でパーツを買い、自分好みで組み合わせて使う」ことを好むからでした。E社の商品はオールインワンでそのような組み合わせをする必要がないものでした。これはマニアにはかえって「自分で選ぶ楽しみがない」と思われていたのです。

 

では、非マニアの方はなぜE社の商品を買ったのでしょうか。特に我々として意外だったポイントは二つあります。一つ目は見た目のインテリア性です。E社は家電製品と見えないほどデザインが優れ、インテリア性が高かったのです。もちろんE社の方も私もそう思ってはいたのですが、「そうは言ってもまずは性能、デザインはあくまで副次的なもの」とあまり重視していなかったのです。しかし、あるお客様は「家を新築し、家電を買う予算が少しだけあまった。デザインにこだわった家だったので家電も妥協したくなく、数ある製品の中からこれを選んだ」とおっしゃっていました。

 

二つ目の要因はメイド・イン・ジャパンです。E社の既存事業は安い中国産製品などに売上を奪われたことから、自社製品の製造の際にはなるべく国内の部品や企業を活用し、自社で組み立てることにこだわっていました。それを知ったお客様から「どうせ買うなら国産のものを買いたい」という声がありました。また、実際に製造業を経営しているお客様からは、「私もものづくりをしているからよくわかる。この○○の部分の××という加工はとてもむずかしいんです。それがこの価格で実現しているのだから、これは買いですよ」という声もありました。安価な外国製品が溢れているからこそ、「国産のものを買って応援したい」という方が一定数いたのです。

 

その製品の性能だけでなく、これら「見た目のインテリア性」「メイド・イン・ジャパン」を押し出した販売促進を行うことにしました。即効性はありませんでしたが、じわじわと取扱い先が増えていきました。そんな中、あるテレビ局から、ゴールデンタイムの経済番組の取材を受けました。約30分、E社および本製品が取り上げられたのです。これも「メイド・イン・ジャパン」を押し出したからこそ、「ではどんな考えでものづくりをしているのか取材してみよう」というアプローチがあったのでしょう。その後、従来の5倍以上の売を達成し、一時は在庫がなくなって生産が追いつかないほどでした。

 

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上記の例の他にも、「1個数百円の商品」「サービス業」など、他の事例も豊富です。

すべては載せきれませんので、「想定する商品」をご覧ください。