なぜ、シンガポール航空は車の乗り降りのトレーニングをするのか

ブランドで大切なのは「一貫性」

先日テレビを見ていたら、シンガポール航空のCA(客室乗務員)のトレーニングの様子を放映していました。


そのトレーニングの中で、まるでモデルのような「歩き方」のレッスンもありました。


さらにそれに加えて「車の乗り降りをエレガントに見せる」ためのレッスンもありました。


CAですから、車の乗り降りは業務には関係ありません。


では、なぜそのようなレッスンを受けるのでしょうか。


番組では「シンガポール航空のCAは空港でタクシーを乗り降りするときも、シンガポール航空のCAらしい振る舞いをしなければならないからだ」と説明していました。


もちろん業務そのものは基本的に飛行機の中で行われます。車の乗り降りは業務外だし関係ない、と思われるかもしれません。


しかしその様子を見る人にとっては車の乗り降りも「シンガポール航空のCAの振る舞い」の一つです。業務中かそうでないか、は関係ありません。そういった行動ひとつひとつから「やはりシンガポール航空のCAは立ち居振る舞いが違う」と判断するのです。


このように、ブランドを維持・育成するためには「一貫性」がとても大切です。その場しのぎで表面的な部分だけをとり作ってもダメなのです。


ボールペンひとつでブランドはダメになる

例えばあなたがいわゆる高級ブランドで買い物をしたとします。クレジットカードにサインしてください、と渡されたボールペンが100円ショップで売っているような安物だったらどうでしょう。見せられた電卓がいかにも経理の人が使うような業務用だったらどうでしょう。

 

もちろんボールペンも電卓も、その高級ブランドの商品とは何の関係もありません。しかしそこで大事なのは「一貫性」です。その高級ブランドのブランドイメージと合致したボールペンや電卓であることで、その一貫性が保たれるものです。

 

裏を返せば、ブランドを維持・育成するには、一貫性を保つために「いかなる隙も見せられない」ということです。99%がOKでも、1%のほころびでブランドは崩れてしまいます。シンガポール航空はそれがわかっているからこそ、車の乗り降りのレッスンを行うのでしょう。


「味がいいから」「デザインが優れているか」ブランドになる、という単純なものではありません。お客様が見るもの、接するもの、感じるもの、その「すべて」でブランドは作られるのです。