正しく因果関係を見抜くには(後編)

人は「原因を見つけたがる」クセがある

さて、前回の問題、

 

「小学校で、『朝食を食べるグループ』と『朝食を食べないグループ』を比較したところ、明らかに朝食を食べるグループの方が食べないグループよりも学校の成績が良かった。そのため、朝食を食べることは成績アップに効果的であることがわかった」

 

は正しいでしょうか?それとも偽相関でしょうか?

 

「何となく正しい気はするけど『朝食を食べる』ことが『成績アップ』につながるかというと…。うーん…?」

 

とモヤモヤした人が多いのではないでしょうか。

 

この件も、実は「朝食を食べたから」成績が上がった、のではなく、

 

朝食を食べるグループは、食べないグループよりも、親のしつけや教育がしっかりしている

 

という仮説が考えられます。

 

小学生に朝食を食べさせる親は、食べさせない親よりも、そのような家庭のしつけのみならず教育についても力を入れている可能性が高い。だから、「朝食を食べたから成績が良い」のではなく、

 

「朝食をきちんと食べさせるような、教育に力を入れている親だから、塾や宿題などにも取り組ませて、その結果、成績が良い」

 

かもしれないのです。

 

このようなことをロジカルシンキング講座では学びます。ではなぜこのようなことを学ぶのでしょうか?

 

それは「人間は存在しない因果関係を見つけて、わかった気になりやすい」からです。

 

あるテレビ番組を見ていたら、パプアニューギニアの一部には未だに「黒魔術」が残っているのだそうです。

 

科学が発達していない人にとって、風邪などの各種の病気は正体不明なものです。だから「あいつが黒魔術で呪ってお前のカラダをこんな状態にしたんだ」と黒魔術のせいにして、それだけを根拠にその呪ったとされる人に報復したりするのだそうです。

 

医学によって、我々はウィルスが・・・病原菌が・・・と病気の原因はある程度わかります。しかし、そのような知識を持たない人にとっては「何が原因かわからない」というのは非常にモヤモヤした居心地の悪いものなのです。だから「黒魔術のせい」としてスッキリしたいのです。

 

黒魔術とビジネスは別、と思いがちですが、多くの人が同じように考えがちです。

 

実際のビジネスは非常にいろいろな要素が絡まり合っているものです。身も蓋もない話ですが、何かの事象の原因を探っても、実際には「たまたま」や「運」だったりするものです。

 

しかしそれだとスッキリしないので「AだからBになった!」と決め付けたくなるのです。

 

例えば「あの会社はCMが好評だったので商品Xがヒットし、業績も好調だ」と外部から分析したとします。

 

しかし実際にはその会社は元から好調で、その好業績を原資にCMを打ち、それによってますます商品Xが売れた・・・のかもしれません。つまり因果関係が逆かもしれないのです。

 

ビジネスで安易に「AだからB」と決めつけることは危険です。偽相関ではないか、そして何の関係もない黒魔術を原因と決めつけていないか、気をつけましょう。